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Shanling UA3の高音質化【アプリでデジタルフィルターの設定を変えてみよう!】AK4493SEQ

Shanling UA3の高音質化【アプリでデジタルフィルターの設定を変えてみよう!】

どうも、ヘッドホン好きブロガーのてつです。

人気のスティック型ポータブルUSB-DACのShanling UA3。

このDACはホント音よくておすすめなのですが、デフォルト設定だとちょっと低音が効きすぎている印象。

その原因は、DACのデジタルフィルターの設定にありました。

バナー黒板風

Shanling UA3はアプリで音質を自分好みにカスタマイズできる!

Shanling UA3は、DACチップに旭化成のAK4493SEQというものを搭載しています。

AK4493SEQは、6つのデジタルフィルターを変えて音質の変化を楽しめるようになっています。

 

買ったままのShanling UA3のデフォルト設定は、「低音が強調されるデジタルフィルター」の設定(Short Delay Sharp Roll Off)になっているんですよね。

Android/iOSアプリ経由でこのデジタルフィルターを弄ってあげると、あなたの好みの音質をより追求できるというわけです。

Eddict Player アプリのダウンロード(MUSIN公式・Android/iOS対応)

 

このDACチップのデジタルフィルターは、旭化成以外のESSなどにもよく搭載されているのですが、アプリで手軽にユーザーが変更できるのは、さすがShanlingという感じ。

通常は、メーカーが音決めの段階でデジタルフィルターの設定を固定してしまうので、ユーザー側で後から変更などはできないDAC(DAPも)が多いです。

※UA3のライバル機種であるiBassoDC06なども変更できません。

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Shanling UA3はスティック型なのに、アプリでAKチップ内のデジタルフィルターの調整までできてしまうので、本当に優秀で使いやすいDACですね。

フィルターを弄るといろいろ発見があり、オーディオ好きとして勉強にもなるので、最初の一つとしても、オススメです。

 

というわけで長くなりましたが、Shanling UA3に搭載されているAK4493SEQの6つのデジタルフィルターの音質の変化・ちがいについて私見を述べていきたいと思います。

フィルター設定の変え方

Shanling UA3のデジタルフィルターの変え方は、以下の3ステップ

  1. Shanling公式のAndroidアプリ「Eddict Player」をインストール
  2. メニューから「USBデバイスコントロール」をタップ
  3. Filterの項目をタップすると6つのデジタルフィルターを選択できる

という手順です。

Eddict Playerのメイン画面

Eddict Playerのメイン画面

Eddict Player アプリのダウンロード(MUSIN公式・Android/iOS対応)

注意点:LEDの点滅が終わるのを確認する

Android/iOSアプリさえ使える環境なら、カンタンに設定できます。

ただ、一つ注意点があります。

デジタルフィルターを選択すると、ShanlingUA3側のLEDランプがピカピカピカ…と点滅しはじめます。

この点滅が3秒くらい続いて、点灯状態になったらDACチップのフィルター設定が正常に書き換えられた合図です。

点滅している時間は地味に長いので、点滅が終わる前にUSBケーブルを抜いてしまったりアプリを閉じてしまったりすると、正しく書き変わりません。

点滅途中でUSBを抜いてしまうと、設定が元のフィルターのままだったりしますので、そこだけ注意です。

AK4493SEQに搭載されている6つのデジタルフィルターの詳細

では、肝心の6つのデジタルフィルターの特徴を説明していきます。

まずは旭化成公式の説明を見てみましょう↓

2020 年現在、AKM のデジタルフィルターは以下の計 6 種類が存在します。
種類も多いため、お客様からは「どのフィルターが一番いいの?」と聞かれることがありますが、これが一番というものはなく、最終的には音質の好みで選択してもらうようにお願いしています。一例ですが、音質の好みに関しては地域的な傾向があるように感じています。というのも、これまで多くのお客様や、AKM の海外拠点メンバーに対してフィルターの違いをデモする機会があったのですが、おおむねアジア圏の人々は Sharp roll off filter, Slow roll off filter を、欧米のお客様は Short delay sharp roll off filter を好まれる傾向があるようです。

引用元:AKM公式サイト内ブログ より良い音質を求めて- デジタルフィルターと音質 –

 

【AKMのDACチップに搭載されている6つのデジタルフィルター】

  1. Super Slow Roll Off
  2. Short Delay Slow Roll Off
  3. Slow Roll Off
  4. Low Dispersion (Short Delay)※NEW
  5. Short Delay Sharp Roll Off
  6. Sharp Roll Off

各フィルターのサウンドイメージ↓

注意:この図には一番最新のフィルターである「Low Dispersion」が入っていません。旭化成によると、これらすべてのバランスをうまく取り合うように試行錯誤の上、生まれたのがLow Dispersionフィルターということらしいです。

それぞれの音色の特徴を比較

それぞれの音色の特徴をカンタンに解説しておきます。

※私見がけっこう混じっているので、最終的な判断はアナタ自身で確かめてください。

①Super Slow Roll Off

特徴:エコーなし

音像:かなりシャープ

音の距離感:かなり近い

サウンドタイプ:ナチュラルトーン

 

これはほぼノーフィルターのような設定。

インパルス応答の波形のカタチもほぼ変化なし。

いわゆるNOS-DAC(Non Over Sampling digital fileter)のような音が楽しめる設定です。

参考:NOSの音を聴けるDAC? – PHILE WEBコミュニティ

エッジ感があり、音の立ち上がりが早く、よく言えばヌケがいい音。悪く言えばデジタル臭く固い音。

音像をできるだけクッキリハッキリ近く聴きたい人向け。

 

印象としては、やはりかなり硬質でシャープな音が出ます。

クリアさは一番あると思うので、集中して細部まで聞き込みたい時などにオススメのセッティング。

ただ、聴き疲れするという一面も。

②Short Delay Slow Roll Off

お次はShort Delay Slow Roll Off。

特徴:最小限のエコー

音像:シャープ

音の距離感:やや近い

サウンドタイプ:アコースティックトーン

 

AKMのオーディオマイスター佐藤友則氏が試行錯誤の上、楽器メーカー(おそらく経験豊富なレコーディングエンジニア?)からお墨付きをもらったセッティングがこちら。

意気揚々と AK4399 を楽器メーカーのお客様へ紹介に行った時のことです。試聴の後「これ、私が録音したドラムと位置が違う」と言われてしまいました。また問題発生です。シンバルやタム、ハイハットの位置が録音した時と微妙に異なって聴こえてしまうということでした。

こういった問題点を次の製品開発で対応しました。それが Short delay slow roll off filter です。これは AK4482 に搭載しました。これをもって、同じお客様のところへ行き、位置が正しいと言ってもらえた時は心底安心しました。

引用元:AKM公式サイト内ブログ より良い音質を求めて- デジタルフィルターと音質 –

最小限のエコーをかけて、音の揺らぎを演出しています。

 

たしかに、バランスがいいです。

①のSuper Slow Roll Offよりもだいぶ音の角がとれてまろやかになっています。

まろやかなだけではなく、独特なキラキラ感を伴う揺らぎもあって面白い。

サウンドステージも広がりがあり、音像も遠すぎず、近すぎずでほどよい距離感。

③Slow Roll Off

3つ目はSlow Roll Off

特徴:最小限のエコー

音像:中間

音の距離感:中間

サウンドタイプ:トラディショナルトーン

 

音の前後に最小限のエコーをつけてあるモード。

プリエコーとポストエコーが左右対称でかかっているので、自然な音の質感。

 

聞いた感想は…

これはけっこう判断が難しいですね…汗w

いい意味で、めっちゃ普通。

 

音も近すぎず遠すぎずだし、エッジ感も刺さるわけでもなく、ぼやけているほどでもないまろやかさ。

無色透明って感じ。

特徴がないようなのが特徴…。

語るのが難しい。。

案外、こういう音が飽きずに安定してずっと聴き続けられるのかな〜と思います。

超優等生なサウンド。

ただ、ちょっと大人しすぎるような印象も感じてしまうのは、聞き手の欲張りなんでしょうか?…汗w

④Low Dispersion (Short Delay)※NEW

4つ目はLow Dispersion (Short Delay)

特徴:ショートエコー

音像:中間

音の距離感:中間

サウンドタイプ:ハーモニックサウンド

 

2022年時点で一番新しいフィルターがこのLow Dispersionです。

AKMの技術者によると、位相や周波数特性のバランスをうまくとったとのこと。

波形のカタチを見ると、プリエコーが少しかかっていて、ポストエコーの方が多いですね。

 

聞いてみた感想は、

かなりマイルドで角が取れた音。

悪くいうとモコッとした質感。

よくいえば、優しくてアナログ的なウェットな音。

ローミッドあたりが強い印象。

音のリアリティというか、実体感が感じられて生々しい。

ドラムなどの太鼓系のボディの鳴りもしっかりと表現される。

解像度も他のフィルターよりも高く聞こえる。

⑤Short Delay Sharp Roll Off

5つ目はShort Delay Sharp Roll Off

特徴:ポストエコーで低音強調

音像:シャープ

音の距離感:少し遠め

サウンドタイプ:アコースティックサウンド

 

こちらはShanling UA3でデフォルト設定されているフィルタ。

Shanling UA3をはじめとして、AKチップ搭載の多くのDACでデフォルトで設定されていることが多い。

ポストエコーが強めにかかっており、低音が強調される仕組み。

イコライザーをかけているわけでもないのに、低音が強調されるなんて不思議ですね。

 

聞いてみた感想としては、

確かに低音がドスンドスンと響く。

若干ブーミーすぎると感じるほど。

ぼくはリファレンスヘッドホンとして、低音が強めなゼンハイザーのHD6XX(HD650)を使っています。

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なので、DACでこのShort Delay Sharp Roll Offを選択してしまうと、一層低音がモリモリ状態となってしまい、低音が出過ぎに感じるんですよね。

高音域も少しつぶれ気味な印象。

AKGなどの低音が控えめで高音が目立つヘッドホンに合うフィルター。

手持ちのK701などのAKG系モニターヘッドホンに組み合わせるとバランスが取れていた。

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⑥Sharp Roll Off

最後の6つ目はSharp Roll Off

特徴:プリ&ポストエコーが強めに左右対称でかかる

音像:スロウ

音の距離感:遠め

サウンドタイプ:トラディショナルサウンド

 

このフィルターの特徴は、③のSlow Roll Offと同じく、左右対称のエコーがかかっている点。

ただし、こちらの方がより強めにかかっている。

 

なので、音像は6つのフィルターの中でも一番遠く、サウンドもマイルド。

よく言えば、肩の力を抜いてゆったりと聴ける。

悪く言えば、解像度や音の立ち上がり・スピード感・エッジやディテールはぼやけ気味。

 

聞いてみた感想としては、

これはこれで気持ちいい。

まるでスピーカーで聞いているかのような、広がりがあって空間的なサウンド。

おおげさにいうと、サラウンドっぽい。

奥行き感がグッと増して、6つのフィルターの中でも一番「エフェクトっぽさ」がわかりやすい。

 

揺らぎ感がかなり強いので、飛び道具的にたまに聴きたくなるが、ずっと聞いていると少し酔うような若干のしつこさも感じてしまう。

 

原音忠実という観点から言うと確実にちがうのだが、サラウンド的な音が気持ちいいので、

「いつもの音源をちょっとちがう気分で楽しみたい」

「イヤホンやヘッドホンでも擬似的にスピーカーで聞いているような体験がしたい」

という気分の時には非常に楽しい。

 

音のバランス自体は下から上までキレイにフラット。

ただ、解像度がぼやける。

細部ではなく、全体のまとまり感を見極めたい時にモニターチェック・マスタリングなどでも使えるかも。

個人的な好みは「Low Dispersion (Short Delay)」

以上6種類のAKMのフィルターを比較してきました。

個人的に一番好みのフィルターは

④のLow Dispersion (Short Delay)

ですかね。

 

かなり迷って何度も聴き比べたのですが、現時点でのUA3のフィルターセッティングは

④のLow Dispersion (Short Delay)

に落ち着いております。

 

Low Dispersion (Short Delay)の特徴を再度まとめると

  • 音全体の生々しさが一番高い
  • アナログっぽい濃密な音と空間表現
  • 不自然なエフェクトっぽい揺らぎも少なく、解像度も高い

という感じ。

さすがAKMのベルベットサウンドといったヌルヌルな音がクセになりますね。

この音はESS系のチップでは出せない独特の世界観で、かなり完成度が高い。

デジタル臭さがほとんどしないので、聞いていて非常に心地よい。

まとめ

はい、というわけで今回は

Shanling UA3の高音質化【アプリでデジタルフィルターの設定を変えてみよう!】

というテーマで話してみました!

 

内容的に、Shanling UA3だけではなく、AKMのDACチップが搭載されていて、フィルターの設定をいじれるモノなら共通してつかえると思います。

ぜひいろいろ試してみて、あなたにピッタリの音を探してみてくださいね〜。

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