話題の新書、
22世紀の民主主義 選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる (SB新書)
成田悠輔:著
を読んでみました。
かなり面白い本でした。
内容をざっくりと要約すると以下の3段階↓
ざっくりこんな流れで本は進んでいきます。
成田悠輔さんの22世紀の民主主義の要約&感想
まずは完全にオワコン化している現状を解説してくれます。
シルバー民主主義ドップリの現状
今や有権者のほぼ半数が年金受給者。
シルバー民主主義が固定してしまっており、老人の老人による老人のための政治になっている。
若者がどれだけ政治に関心を持っても、投票率が上がっても老人には勝てない。のは明らか。
それに、今の民主主義はSNSなどの影響もあり衆愚化しているので、若者がたくさん投票しても社会が良くなるとは限らない。
というドグマに日本を含め、先進国の多くが陥っている。
そんな問題があるよね、と。
新国家に逃避しはじめているエリート層
それに対して、アメリカのエリート層(例:シリコンバレーの投資家ピーターティール氏)などは、「新国家を設立」して新しい社会を実現しようとしている。
いわゆるエリートだけが入国できる「ゲーテッドコミュニティ」がそれにあたる。
ようするに「お金持ちで」「知的」な国民しか受け入れない「新国家」が今後公海などに海洋都市として生まれるプロジェクトが進んでいる。
これが民主主義の次なる新しいカタチである。
ティール氏はそんな新しい社会(民主主義の次のカタチ)を実現する候補地としてニュージーランドを推している。2011年にはニュージーランド国籍を取得した。土地も買っているという。
参考:ピーター・ティールが「世界の終末」に備えてニュージーランドへ“逃げる”理由
本書の結論:一般人の幸せはAI活用によって最大化できる?
そんな感じで富裕層や知的エリートたちは着々と「旧世界」から逃避する準備を進めているのが2022年の現状。
とはいえ、そんなフットワーク軽く行動できるのは、一部のエリート層に限られる。
お金もあって教育水準も高い一部の人たちだけだ。
日本をはじめとする一般的な国の一般的な国民は、そんな先進的な考えもできない。
そこで成田悠輔さんが提案しているのが
AIやビッグデータを活用した新しい意思決定システム
だ。
ものすごくざっくりいうと、
選挙はやめてAIに決めてもらおうよ
という提案がこの本のキモ。
選挙はお祭りとして残しつつ、意思決定はAIが担当
もちろん、カタチとしての選挙は「お祭り」のような形で残して国民のガス抜きはする。
選挙の結果も、多少弱めた割合でAIの意思決定アルゴリズムに組み込む。
完全に選挙をなくすのではなく、民主主義における選挙の比重をグッと落とそうよというのが成田さんの提案だ。
政治家も最低限の人数残して、国民感情のサンドバッグ役を演じたりしてもらう。
ただ、意思決定の基本はAIやビッグデータなどのITに頼ろうというもの。
国民感情をセンサーなどで測定してビックデータ化する
町中の監視カメラやスマホ、家や職場などにセンサーを多数配置して、
どういう層の国民がどういう悩みを抱えているのか?
を把握して、匿名ビックデータ化して政治の意思決定につかう。
ようするに
税金の再分配を政治家のゴニョゴニョで決めるのではなくAIに任せようよ…
というのが成田悠輔さんの本書での主張である。
読んだ感想・個人的な見解・レビュー
ここからはぼく個人的な感想。
まず、成田悠輔の考え方はさすがだし、考えれば考えるほど、
「そうするしか道はない」感がジワる。
選挙は大事だ。
民主主義も大事だ。
ただ、2022年のリアルはこうだ。
・有権者の約半数が年金生活者である。
公的年金被保険者数は、令和元年度末現在で 6,762 万人となっており、前年度末に
比べて 15 万人(0.2%)増加している。
若者世代がどんなに結託しても、年金受給者が半分もいるのだから、太刀打ちできないのは明らか。
まさに「老人による老人のための日本社会」
シルバー民主主義真っ只中なのが2022年のニッポンだ。
となると、選挙で旧態依然としたシステムを変えることは不可能。足し算すればわかる話。
ワンチャン、若者の投票率が100%近く上がり、逆に老人世代の投票率が50%以下などになれば変わるかもしれないが、そんな事態はなかなか期待できない。
というわけで、このままダラダラとシルバー民主主義(しかもどんどん濃度が濃くなる)を続けていると、国は衰退するし、若者が搾取される一方になってしまう。
結論:「より幸せな養分」として生きようというのが本書の皮肉を込めたメッセージか
そこで成田さんが提案しているのが「AIによる意思決定・再分配」なのだが、
正直これはどうなのかな…と思う。
結局、何の意思決定もできない集団が蠢いているだけの民衆に、果たして意味があるのだろうか?
自分達の現状や未来について、主体的に議論したり行動できない民衆をAIが制御して、保持する。
残酷な話だが、結局「富裕層の肥やし」として「養分」として生きるだけになってしまうだろう。
富裕層はゲーテッドコミュニティ化した新国家に逃避し、洗練された新しいシステムの中で新しいイノベーションを生み出す。
さらにメイクマネーし続ける。
AIまかせの意思決定で回る社会は、ますますイノベーションから遠のき、盲目的に消費行動を繰り返すだけだと思うのですが、どうなんでしょうね。
富裕層が集まる新国家が作り出したビジネス/サービス/商品を消費するだけの「養分国家」としての側面がさらに強くなるのでは?と思ってしまう。
ワンチャン、イノベーターが生まれたとして、そういう人はこっそり「1抜けた」と新国家に転入していくでしょう。
成田さんが提案しているのは
AI民主主義国家=養分提供国家
という残酷な話なんですかね…汗。
AI民主主義を実現すると、ぬるま湯の「家畜」された与えられたシステムの中で消費者として存続していく。
という構図になっていくのではないかな〜と思います。
というわけでぼくの意見としては、
AIによる新しい民主主義は「養分」として日本人がヌルッと存続するだけ
のような気がします。
もちろん、成田さん的にはそんなことも想定内なんでしょうね。おそらく。
「それでも幸せな養分として、生きた方がいいじゃないか」
「できるだけ幸せな養分として日本人が選べる道がAI活用しかない」
「そんな中でも一定確率でイノベーターが生まれるから、そういう人は勝手に新国家に行けばOK」
という話なんだと思います。
強烈な皮肉というか…身もフタもない論ですが、マジでそれしかないというのが成田さんの意見なのかなと。。
たしかに、考えれば考えるほど、そうなるしかないのが民主主義の行き着く先っぽい気はします。
本書のタイトルは
22世紀の養分としての幸せな生き方
の方が正しいような気がしてきてしまいます…汗。
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